●世間はこんなに怒っている。 ビル前の歩道からバイクが消える。
世の中には約1300万台のバイクが登録されている。その中の1000万台が原付だ。
その膨大な数の車輌を一時駐車できる場所が、この日本にはほとんど存在しない。その結果、町にあふれたバイクを巡って混乱が多発している。
一昨年、東京都は「都道における放置苦情実績」という調査をまとめている。これによれば、4月から6月までの3ケ月で、バイクの放置苦情は91件。自転車についで多い項目となっている。
東京都道の場合、「バイクが止められて迷惑だ」という苦情に対する現場は、都内12箇所の建設事務所だ。
「ビルの前などにバイクや自転車を置かれると困るという苦情は多いです。最近では、放置駐車排除に協力するから撤去を呼びかけるビラをもらえないか。あるいは、駐車禁止の看板をつけて警告して欲しいという要望がビル管理者さんから多く寄せられ、自主的に放置対策にご協力いただけるビル管理者さんから多くよせられ、自主的に放置対策にご協力いただけるビルも珍しくありません」(同第一建設事務所・佐藤仁監察係長)
歩道に止められたバイクや自転車の対応は、道路の管理者である自治体に任せられているが、放置されたバイクを移動することは自治体の仕事ではない。忍耐の限界を超えたビルの持ち主らが、目の前の放置車輌に立ち向かい始めたという訳だ。こうしたビルでは歩道に止められた車輌であっても、撤去を求めるビラを貼り付けたり、警備員らによる移動の要請を行なっている。当然、要請に応じない違法車輌の通報もする。
ビル前で放置車輌の対策を行なっているかどうかを見分けるのは簡単だ。要望があったビルの前には、バイク自転車放置禁止という看板が、取り付けられている。
たとえば東京駅八重洲口前の外堀通には、こうした場所がたくさん有る。たとえば八重洲口のランドマークタワーとして人目を引くパシフィック・センチュリー・ @プレイスビル前、機械メーカーヤンマーのオフィスビルであるヤンマービル前、それに隣接する中小の商業ビルの前にも看板が見受けられる。
こうした歩道にバイクを止めると「止めないで下さい」と警告されるわけだ。ビルの多くは、敷地内に自転車バイクの駐車スペースを設置して、車輌を誘導している。
だが、そもそもバイクは自転車とは違う。車と同じ道路規制に従ってそこにやってくるのだ。ビルが設置した“自転車置き場”の場所など分かるはずもなく、バイクユーザーは行く先々で、注意されるはめになる。さらに、誘導された場所には自転車が溢れ、とても車と同じ価値あるバイクを止めておけるスペースではない。
車であれば、どんなビルの前に言っても駐車場の案内が表示されているのに、ビル側も駐車場にバイクを誘導してまで、放置を解消しようとは思っていないことも問題だ。
かくして追い立てられたバイクは置き場所をもとめ再び歩道に溢れる事になるのだが、あるビルの関係者は、こうした放置バイクに強く抗議している。
「本来、バイクを歩道に停める事は違法ですよ。警察官でなくても、こうした違法を一般人が告発することもできる。私は悪質な違法バイクは証拠物件として警察が押収するくらいの処置をとるべきだと主張しているほどです」
怒りの大きさは、駐車違反の摘発件数にも如実に表われている。
警視庁がまとめた全国の検挙件数は、ここ2年間の 1年で一万件ずつ増加している。
バイクの駐車違反は2001年までは3万件台ほどだったが、2002年には4万件、昨年は5万件を超えたが、この総数には取締りが多くなる12月の件数を含んでいない。今年はさらに検挙件数が増加することは必至だ。 なのに、現状は駐車場の整備どころか、法律すらない。バイクはただ、追い立てられるだけなのだ。 |